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お金を貯めるために必要なのは、毎日我慢を続けることだけではありません。手取り収入と支出を把握し、給料日に先に貯蓄へ回し、残った範囲で暮らす仕組みを作ることが基本です。意思の強さに頼らず、月1回の確認で続けられる形にすると、忙しい月にも崩れにくくなります。
ただし、誰にでも通用する「毎月○万円」「収入の○%」という正解はありません。収入、家族構成、住居費、借入れ、健康状態、近い将来の支出によって、無理なく貯められる額は変わります。本記事では、家計が赤字の場合にも取り組める順番で、お金を貯める10の習慣と具体的な始め方を説明します。
お金を貯める基本は収支を黒字にして先に分けること
金融庁のNISA特設サイトは、家計管理の基本を、収入と支出を把握・管理し、収支を黒字にし、その黒字分を貯蓄することと説明しています。また、給料日に一定額を自動で貯蓄用口座へ移す方法も紹介しています。
順番にすると、次の4段階です。
- 毎月の手取り収入を確認する
- 必要な支出と予定外の支出を記録する
- 支出を手取りの範囲に収める
- 無理のない額を給料日に先取りする
投資商品を選ぶ前に、この土台を整えます。生活費や近く使う予定のお金まで値動きのある商品へ回すと、必要な時期に価格が下がっている可能性があります。貯蓄と投資は目的と使う時期を分けて考えてください。
習慣1|給与明細で手取り収入を確認する
家計の基準にするのは、求人票の額面年収や支給総額ではなく、税金や社会保険料などが差し引かれた後の手取り収入です。金融庁の金融ガイドも、手取り収入を貯蓄や支出の基準として把握するよう案内しています。
給与が入ったら、給与明細と口座の入金額を確認します。残業代や各種手当で毎月変動する場合は、高かった月を基準に固定費を組まないようにします。賞与も必ず出るとは限らないため、月々の生活費を賞与で穴埋めする家計になっていないか見ます。
自営業や収入変動が大きい人は、売上と自由に使えるお金を同じと考えません。事業経費、税金、社会保険料の支払いを分け、生活費として家計へ入れる額を決めます。
習慣2|支出は完璧に分類せず全体額をつかむ
家計簿が続かない人は、最初から食費を細かく分けたり、1円単位で残高を合わせたりする必要はありません。まず1か月分の銀行口座、クレジットカード、電子マネー、現金引き出しを集め、支出の総額を把握します。
現金は使途が見えにくいため、1週間だけレシートを保管する方法でも構いません。大切なのは、記録の美しさではなく、手取りを超えていないか、何に多く使っているかを判断できることです。
費目は、最初は次の5つ程度で十分です。
- 住居・通信・保険・返済など毎月の固定費
- 食費・日用品など生活に必要な変動費
- 交通・医療・教育など家庭ごとの必要費
- 趣味・交際・外食など調整しやすい支出
- 税金・家電・旅行など毎月ではない特別費
クレジットカードの利用日は購入日、口座からの引き落としは翌月以降になる場合があります。二重計上を避けるため、利用時点か引き落とし時点のどちらで記録するか決めます。
習慣3|給料日に少額を自動で先取りする
J-FLECの家計管理教材は、お金に余裕ができたときに貯めるのは難しく、給与天引きや口座引き落としを使って先に差し引く仕組みが重要だと説明しています。
給料日の翌日などに、生活費口座から貯蓄用口座へ自動振替を設定します。最初の金額は、翌月に戻さなくても暮らせる少額にします。自動振替のためにカードローンやリボ払いを使う状況になるなら、金額が大きすぎます。
3か月ほど続けても生活費が不足しない場合に、少しずつ増やします。増額後に医療費や年払いが重なって苦しくなったら、失敗と考えず、特別費の積立を別に作って調整します。
習慣4|口座を目的で分ける
残高が一つにまとまっていると、今月使える生活費と、来年の支払いに備えたお金を区別しにくくなります。最低限、次の役割を分けると管理しやすくなります。
| 役割 | 入れるお金 | 使う場面 | |—|—|—| | 生活費口座 | 今月の家賃、食費、光熱費など | 日常の支払い | | 特別費口座 | 税金、車検、家電、帰省など | 年数回の大きな支払い | | 貯蓄口座 | 緊急時や将来目的の資金 | 決めた条件以外では使わない |
銀行口座を増やしすぎると残高確認が負担になります。今ある口座の自動振替や目的別管理機能で足りる場合は、新規開設を急ぎません。手数料、ATMの使いやすさ、預金保険制度の対象かも確認します。
習慣5|年払いを12か月に分けて積み立てる
「普段は黒字なのに、税金や更新月で貯金が減る」という場合、予定できる支出を緊急事態として扱っている可能性があります。固定資産税、自動車税、車検、保険の年払い、家電買い替え、帰省、学校行事など、過去1年の大きな支出を書き出します。
年間の見込み額を12で割り、毎月の特別費として分けます。金額が確定していないものは、前年実績や現在の案内から仮置きし、通知が来たら更新します。年払いをまとめて払う方が必ず得とは限りません。割引額と、そのために資金を拘束する負担を比べます。
特別費を分けると、貯蓄残高が一時的に減っただけなのか、家計そのものが赤字なのか判断しやすくなります。
習慣6|固定費は一度に一項目だけ見直す
節約を始めると、食費、電気、保険、通信、サブスクを一度に変えたくなります。しかし、解約条件や家族への影響を確認せず進めると、必要な保障やサービスまで失うことがあります。
毎月自動で出ていく支出を一覧にし、使っていないサブスクリプションから確認します。次に、スマートフォンやインターネットの契約内容、保険の重複、駐車場、習い事などを見ます。
保険は保険料だけでなく、保障内容、免責、給付条件、公的保障、家族の生活への影響を確認します。住宅ローンや賃貸住宅は金額が大きい一方、借り換え費用や転居費用もかかります。複雑な契約は、安さだけで即決しません。
習慣7|買い物の待機ルールを作る
欲しい物をすべて禁止すると、反動で使いすぎることがあります。代わりに、一定額以上の予定外の買い物は当日決済せず、翌日または次の週まで待つルールを作ります。
待っている間に、次を確認します。
- すでに同じ用途の物を持っていないか
- レンタルや修理で足りないか
- 保管場所と維持費が必要ではないか
- セール終了を理由に急いでいないか
- 支払い後も特別費と生活費が残るか
必要な物まで長期間我慢するルールではありません。医療、安全、仕事に必要な支出は優先します。買い物の待機は、衝動的な判断を一度止めるための仕組みです。
習慣8|週1回だけ使える残額を見る
毎日家計簿を開くと疲れる人は、週に1回、10分だけ確認します。見るのは、生活費口座とカードの未確定利用額、次の給料日までの日数です。
月の予算から、すでに確定している家賃や引き落とし、使った変動費を引き、残額を残り週数で割ります。これは使い切る目標ではなく、速度が速すぎないかを見る目安です。
予定より多く使った週があっても、食事を抜いたり必要な医療を後回しにしたりしません。翌週の娯楽費を調整する、特別費から出すべき支出だったか見直すなど、安全と生活を優先して修正します。
習慣9|貯める目的と使う時期を言葉にする
「将来が不安だから」という理由だけでは、必要額も期限も決めにくくなります。お金を次の3種類に分けます。
- 日常生活に使うお金
- 近い将来に使う予定のお金
- 当面使う予定のないお金
これはJ-FLEC教材が示す整理方法です。例えば、半年以内の旅行代、2年後の車検、数年後の教育費では、必要な時期が違います。目的名と予定時期を口座メモや家計表へ書くと、別の買い物へ流用しにくくなります。
緊急時の備えは、病気、けが、収入減、修理などに対応するお金です。必要額は、雇用の安定性、扶養家族、公的保障、毎月の最低生活費で変わります。一律の金額を目標にせず、まず少額の予備費を作り、自分の状況から段階的に増やします。
習慣10|月末は反省ではなく翌月の設定を直す
月末に「使いすぎた」と自分を責めるだけでは、翌月も同じ条件が残ります。記録から原因を一つ選び、仕組みを直します。
例えば、仕事帰りの外食が増えたなら、外食を全面禁止するのではなく、忙しい日の簡単な食事を準備します。カード利用額を把握できなかったなら、カードを一枚に絞るか、利用通知を設定します。年払いを忘れたなら、翌年分を毎月積み立てます。
収入不足が主因で、必要支出を削っても赤字になる場合は、節約習慣だけで解決しません。勤務先の制度、公的な相談窓口、家賃や債務の相談を早めに利用します。返済のために別の借入れを重ねないことが重要です。
貯金が続かないときの立て直し方
自動積立を何度も取り崩す
積立額が大きすぎるか、特別費が不足しています。引き出した事実を隠さず、何に使ったかを確認します。毎年ある支出なら特別費へ移し、生活費なら積立額を一時的に下げます。
家計簿を途中でやめる
項目を減らし、週1回の残高確認へ戻します。銀行やカードの明細を使えば、すべてを手入力する必要はありません。家計簿アプリへ口座を連携する場合は、運営会社、利用規約、セキュリティ、連携解除方法を確認します。
家族が協力してくれない
相手の支出だけを責めず、家賃、食費、教育費、自由に使うお金など共有範囲を決めます。すべての買い物に許可を求める管理は負担になります。共同費と各自の自由費を分け、月1回だけ確認する方法もあります。
借入れ返済と貯蓄のどちらを優先するか迷う
金利、返済条件、延滞の有無、生活に必要な予備費によって判断が変わります。高金利の借入れがあるのに、借りたお金で投資や過大な積立をするのは危険です。契約書と残高を整理し、判断が難しい場合はJ-FLECの相談や自治体、法テラスなど適切な窓口へ相談してください。
お金を貯める習慣を学べる本
家計管理の方法は、細かく記録する方式、目的別予算を先に決める方式、行動の癖を変える方式などがあります。自分に合う方法を1冊から試し、複数の著者が示す金額目標をそのまま自分へ当てはめないようにします。
科学的に正しい お金が貯まる習慣
堀田秀吾著、扶桑社、ISBN 9784594101886です。行動経済学や心理学などの知見をもとに、先取りや自動化、買い物時の判断を習慣として考えたい人に向きます。
新版 正しい家計管理
林總著、すみれ書房、ISBN 9784909957245です。家計の目的と予算を考え、使えるお金を管理する仕組みを基礎から整えたい人が比較できます。
改訂版 本当の自由を手に入れる お金の大学
両@リベ大学長著、朝日新聞出版、ISBN 9784023323780です。貯めることに加えて、稼ぐ、増やす、守る、使うという広い視点で家計と資産形成を考えたい人向けです。個別の金融商品を選ぶときは、本の内容だけでなく最新の公式情報とリスクを確認してください。
購入時はISBN、版、紙・電子、中古の状態を確認してください。税制や金融制度は変更されるため、制度を利用する前には金融庁などの最新情報を確認します。
1か月で始める実行手順
最初の1か月は、成果額よりも仕組みを作ることを目標にします。
1週目は、給与明細、銀行、カードの明細を集めて手取りと支出総額を確認します。2週目は、固定費と年払いを一覧にし、使っていない契約を一つ確認します。3週目は、生活費、特別費、貯蓄の役割を分け、無理のない自動振替を設定します。4週目は、残高不足がなかったかを見て翌月の額を調整します。
最初から理想の家計を完成させる必要はありません。自動積立を始めても、支払いへ戻す月があるかもしれません。その原因を記録し、特別費や積立額を修正できれば、家計管理は前進しています。
まとめ
お金を貯める習慣は、手取り収入の把握、支出の見える化、給料日の先取り、目的別口座、年払いの積立、固定費の点検、買い物の待機、週1回の残額確認、目的の明確化、月末の仕組み修正という順に作れます。
最も重要なのは、意思の強さに頼らず、自動振替と少ない確認回数で続けられる状態にすることです。貯蓄額は他人の割合を真似せず、生活費が不足せず、借入れを増やさない範囲から始めてください。
今月は、給与明細と1か月分の明細を集め、少額の自動振替を一つ設定するところまでで十分です。3か月ごとに金額と目的を見直し、収入や家族の変化に合わせて無理のない家計へ調整しましょう。